2025年10月18日
- 認知行動療法
 
静岡浜松で夫婦関係へのカウンセリング
夫婦関係の悩みの多くは、“大きな事件”ではなく、日常のすれ違いから生まれると言われることがあります。
言葉にしにくい違和感や、伝えたつもりでも伝わらないもどかしさが積み重なると、少しずつ距離が生まれてしまうことがあります。
そんな時には「何が正しいか」よりも、「どこですれ違っているのか」を丁寧に見つめることが役に立つことがあります。
こんにちは。認知行動療法カウンセリングセンター静岡浜松店です。
私たちは、夫婦に関する対話のサポートも行っています。「どこから話せばいいのか分からない」「こんな内容でも相談して良いのか」と不安を抱える方も少なくありませんが、ご夫婦に関するお悩みはとても身近なものであり、特別なものではありません。
私たちが大切にしているのは、相手を変えようとするのではなく、お互いの間に“どのようなやり取りの土台”ができているのかを一緒に見つめ直すことです。
日常のすれ違いは「やり取りの前提」から生まれることがある
夫婦のすれ違いというと、性格の相性や努力不足のように感じてしまうことがあります。
しかし実際には、多くの場合 “物事をどう受け取り・どう意味づけているか” という「前提の違い」から生じています。
例えば、
- 「声をかける=迷惑になるかもしれない」と考える人
 - 「声をかけない=興味がないのかもしれない」と感じる人
 
この2つが同じ場面で交差すると、
そこには“無言のままズレていく関係”ができます。
ここで起きているのは
「どちらの性格が悪いか」ではなく、
「前提が交差していない」という状態です。
伝わらない背景には「パターン化されたやり取り」が存在する
夫婦関係を難しく感じるタイミングは、「話ができていない時」ではなく、むしろ“話しているのに伝わらない時”が多いと言われることもあります。
たとえば、次のような流れです。
| 起点 | こころ | 表の行動 | 
| 本当は助けが欲しい | 負担をかけたくない | 黙って抱え込む | 
| 黙って抱えた分、期待が膨らむ | 気づいてほしい | 伝わらず落胆 | 
| 落胆が積もる | 無力感から怒りへ | 強い口調で出てしまう | 
相手側ではこう映ります。
| 相手からの見え方 | 受け止め | 
| 急に怒られたように感じる | 「何を求められているのか分からない」 | 
この時、「気持ちのズレ」を生んでいるのは性格ではなく、
“気づかないうちに繰り返されてきたパターン”です。
認知行動療法では、この「パターン化した流れ」を丁寧にほどき、
背景にある前提を見える化していきます。
「正しさ」より前に、「今なにが起きているか」を知ること
夫婦関係では、話し合いを始める前にすでに「負け試合」になってしまうことがあります。
- 「言っても無駄」と感じたまま話す
 - 「責められる気がする」と身構えて聞く
 - 「どうせ通じない」という前提で構える
 
この状態だと、どれだけ言葉を工夫しても届きにくくなります。
ですから、カウンセリングでは最初から解決策を探すのではなく
“いま、どのような土台でコミュニケーションしているのか”
そこをゆっくり可視化していくことから始めます。
日常のすれ違いは「小さな場面」に積み重なる
夫婦関係の行き違いは、特別な出来事よりも“生活の端っこ”で起きやすいものです。
- 洗濯物をたたむ/たたまない
 - 食器を洗って片づける/翌朝に回す
 - 今日は早く帰るつもり/相手はゆっくりしてほしいと思っている
 - 「お願い」だったのに「不満」に聞こえてしまう
 
こうした場面には、“どちらが正しいか”よりも、
「なぜその行動を選んだのか」の前提が違う、という構造があります。
すれ違いが起こる瞬間(会話例)
例えば、こんなやり取りは珍しくありません。
(夕方)
「今日は早めに帰れる?」
「うーん…たぶん無理かな」
(本人の気持ち:家事を分担したいから確認)
(相手の受け取り:急かされた)
夜
「言ってくれたらやったのに」
「いや、言ったよね?」
ここで起きているのは
「伝えた/伝えていない」ではなく、
伝えた内容と、受け取った意味が違ったというずれです。
同じ構造は家事でも起きます。
「食器、洗っておいてくれると助かる」
→(本人の意図:お願い)
→(相手の受け取り:“やってない”ことへの指摘)
「わかった」と返事
→ なぜか手つかず
この時、相手は
「あとでやろうと思っていた」
つまり“先延ばし”であって“不満”ではない。
しかし依頼した側では、
「返事=すぐにやるという合図」に変換されていることがあります。
それぞれの頭の中で、こう整理されている
| 本人 | 相手 | 
| 手伝ってくれると思って安心 | まだ自分のペースで動くつもり | 
| 進んでいないのを見て不安 | 「責められる前に終わらせたい」と焦る | 
| モヤモヤを抱えていく | 言われそうで落ち着かない | 
どちらも「相手を困らせたい」わけではありません。
すれ違いが起きる時、それは多くの場合
“気持ちが届かなかった”のではなく、
 “前提が合っていなかった”
という構造で説明できます。
「我慢すれば丸く収まる」ではなく、「どこでずれたか」を静かに整える
日常のすれ違いが続くと、
- 相手に合わせる
 - 言わないまま抱え込む
 - 伝えても落胆する
 
というルートが固定化します。
やがて「ありがとう」と言う場面すら、
どちらが“主導”かを測る材料になってしまうことがあります。
たとえば、
- 「ありがとう」が“感謝”ではなく“譲歩の証明”になる時
 - 「ごめん」が“敗北宣言”のように感じられる時
 
ここでも問題は性格ではなく、“土台となるやり取りの枠”です。
カウンセリングで行うのは「正解探し」ではなく“見える化”
カウンセリングでは最初から話し合いをうながすのではなく、
- なにが起点になっているのか
 - どの段階で意味がすれ違っているのか
 - どんな“前提”の違いがあるのか
 
これらを安全な場所でゆっくり可視化していきます。
すると、
「どちらが悪いか」ではなく
「どんな流れになっているのか」が見えてきます。
この “流れ” が見えると、関係の温度が静かに落ち着き、
“直す”より“整える”という感覚に変わっていきます。
一人から始められる理由
夫婦関係というと「二人で来ないといけない」と感じてしまう方もおられますが、実際には お一人でのご相談から始まるケースも少なくありません。
これは、「片方だけでも“土台となる前提”を少し整えると、関係全体の温度が変わること」があるためです。
相手を説得することも、急な変化を目指すことでもなく、
まずは「自分が安心して考えられる場所を持つ」ということ自体に意味があります。
Q&A
Q. 夫婦で考え方が合わず、話し合いになると平行線になります。相談してもよいのでしょうか?
 A. はい。違いがあること自体が問題なのではなく、「どう扱うか」の部分に支えがあると進め方が変わることがあります。
Q. 相手を連れてこられない場合でも意味はありますか?
 A. あります。会話の土台が整理されることで、ご自身の伝え方や受け止め方の幅が広がり、結果的に日常の雰囲気が落ち着いていくことがあります。
Q. どれくらい通えばよいか決まっていますか?
 A. 回数に決まりはありません。状況が整理できるまでの短期の場合もあれば、丁寧な見直しを続ける場合もあります。
最後に ― 静かに整えていくという選択
夫婦関係は「大きな決断」だけが支えになるわけではありません。
その手前に、「立ち止まり方」や「考え直す余白」があることで、関係は少しずつ整っていくことがあります。
無理に頑張り続けるのでもなく、結論を急ぐのでもなく、
まずは “気持ちを下ろしてよい場所” を持つこと。
そこから見えてくることが、たしかにあります。
焦らなくて大丈夫です。
もし今、言葉にならない思いを抱えているなら、いつでもご相談いただけます。
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