2024年12月07日
- 認知行動療法
子供の「イヤイヤ期」へのカウンセリング(認知行動療法)

こんにちは。認知行動療法カウンセリングセンター静岡浜松店のスタッフです。
子育てをしている親御さんであれば、どなたも一度は耳にしたことがある「イヤイヤ期」。この時期の子どもたちは自己主張が強くなり、日々の生活が思い通りにいかず、親としてどう対応すれば良いのか悩むことも多いのではないでしょうか。
当カウンセリングセンターでは、イヤイヤ期に悩む親御さんへのサポートも行っています。今回は、イヤイヤ期の特徴や、どのように向き合えば良いか、そして親御さん自身の心のケアについて考えてみましょう。
イヤイヤ期とは?
イヤイヤ期は医学的な正式名称ではなく、1歳半から3歳ごろの子どもに見られる発達段階を指します。この時期の子どもたちは「自分でやりたい」「こうしたい」という気持ちが芽生え始めますが、感情をコントロールする脳の前頭前野が未発達であるため、感情をうまく表現できず、親に「イヤ!」と強く反発する場面が増えます。
イヤイヤ期は、自己主張や自立心が育つ重要なステップですが、親子ともにストレスが溜まりやすい時期でもあります。
イヤイヤ期への基本的な対応方法
イヤイヤ期に向き合う上で大切なのは、子どもの行動や感情に理解を示しつつ、一貫した対応を心がけることです。以下は、静岡浜松店が推奨する基本的な対応方法です。
1. 子どもの感情を受け止める
子どもが「イヤ!」と言う背景には、自分の気持ちや意思を伝えたいという欲求があります。そのため、「そうなんだね、イヤなんだね」とまずは気持ちを言葉で代弁してあげることで、子どもは「自分の気持ちがわかってもらえた」と感じやすくなります。
2. 選択肢を与える
子どもが「全部イヤ!」と言うとき、選択肢を与えることで自己決定感を持たせるのも有効です。例えば、着替えを嫌がる場合は「赤い服と青い服、どっちを着る?」と選ばせると、自分で決めたという満足感からスムーズに行動することがあります。
3. 冷静で一貫した態度を保つ
子どもが泣き叫ぶと、つい親も感情的になりがちです。しかし、親が感情的になると、子どもはその反応をエスカレートさせることがあります。例えば、大声で主張しても要求が通らないことを一貫して示すと、子どもは徐々に「この方法では効果がない」と学習していきます。
4. 肯定的な注目を与える
「いい子だったね」と褒めるだけでなく、「一人でおもちゃを片付けられたね」と具体的な行動を指摘して褒めることで、子どもは次も頑張ろうと思えるようになります。
認知行動療法(CBT)を活用したアプローチ
イヤイヤ期の子どもへの対応には、認知行動療法(CBT)の視点が非常に役立ちます。CBTは、「行動」と「思考」に焦点を当てる心理療法で、子どもの問題行動の背景を見つめ直し、適切な対応を見つける助けになります。
1. 行動の仕組みを理解する
子どもがある行動を繰り返す理由は、その行動が何らかの「ご褒美」につながっているからです。例えば、買い物中に泣き叫ぶ→お菓子を買ってもらえる、というパターンが繰り返されると、子どもは「泣けばお菓子がもらえる」と学習してしまいます。
2. 成功体験を積み重ねる
「大きな声ではなく、小さな声で話すと要求が通る」など、望ましい行動を強化する方法を使うことで、子どもにポジティブな習慣を身につけさせます。
3. 親も学ぶ
CBTでは、親が子どもの行動パターンを観察し、適切な対応を学ぶことも重視します。例えば、イヤイヤ期の子どもに対して「どんなときにイヤイヤが始まるか」を記録し、その傾向を把握することで、予防的な対応が可能になります。
親御さん自身のメンタルケアも大切
イヤイヤ期は子どもだけでなく、親にとってもストレスが溜まる時期です。親御さんが心身ともに健康でいることが、子どもにとっても良い影響を与えます。
1. 自分の気持ちに正直になる
「どうしてこんなに大変なのか」と思うのは当然のことです。一人で抱え込まず、家族や友人、専門家に相談することをためらわないでください。
2. 息抜きを取り入れる
短時間でもリラックスできる時間を作ることが、親御さん自身の心の余裕を取り戻す助けになります。
3. 専門家のサポートを受ける
イヤイヤ期に限らず、子育て全般に悩む場合は、カウンセリングを受けてみるのも良い選択肢です。
まとめ
イヤイヤ期は、子どもの成長過程で必ず訪れるステップです。この時期にどう向き合うかによって、子どもの自己主張や感情のコントロール力が育まれていきます。また、親御さん自身がストレスを溜めすぎないよう、心のケアをしながら進んでいくことも大切です。
認知行動療法カウンセリングセンター静岡浜松店では、子育てに関するカウンセリングも行っています。イヤイヤ期でお悩みの方は、一人で抱え込まず、ぜひご相談ください。親子で一緒に乗り越えられるよう、全力でサポートいたします。
認知行動療法カウンセリングセンター静岡浜松店
https://hamamatsu.cbt-mental.co.jp/
——筆者情報——
岡村優希
株式会社CBTメンタルサポート 代表取締役
認知行動療法カウンセリングセンター代表
公認心理師、臨床心理士、認定行動療法士
個人事業主として私設カウンセリングルームの運営を経て、株式会社CBTメンタルサポートを創業し、メンタルヘルス支援者向けのサービス事業を展開している。主宰しているオンラインコミュニティ『認知行動療法の学校』の会員数は約400名。
さらに、カウンセリングルームを全国に5店舗運営しており、全国展開を目指している。
◆執筆書籍
「臨床心理学 〈123(第21巻第3号)〉 問いからはじまる面接構造論 「枠」と「設定」へのまなざし」金剛出版
「遠隔心理支援スキルガイド」 誠信書房
◆テレビ出演
読売テレビ「かんさい情報ネットten.」2024年7月4日
「あなたの味方!お役に立ちます」のコーナーに高所恐怖克服のための専門家として出演
◆雑誌掲載
「からだにいいこと」 2022年12月号、2023年2月号
◆近年の講演実績
2024年2月21日
広島大学医学部にて「セルフケアに役立つ認知行動療法入門」についての講師
2023年2月9日
NTT PARAVITA株式会社にて「認知行動療法」をテーマとした社内研修の講師
2022年7月6日
筑波大学医学医療系精神医学の勉強会で「パニック症の認知行動療法」についての講師
その他、学会発表多数
