「自己嫌悪が止まらない理由」/認知行動療法カウンセリングセンター静岡浜松店 | 認知行動療法カウンセリングセンター静岡浜松店

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こんにちは、認知行動療法カウンセリングセンター静岡浜松店です。
今日は「自己嫌悪」についてお話しします。


■ 自己嫌悪は「落ちている」のではなく、“そこに縫い付けられている”

自己嫌悪で苦しんでいる人を見ていると、
ただ落ち込んでいるだけでも、
自分を戒めようとしているだけでもありません。

もっと切実で、逃げ場がない苦しさです。

このとき、本人の中では

「責めたい」ではなく
「ここから動けない」

が起きています。

自分を傷つけているという実感は本物です。
そしてそれ自体は間違っていません。

ただ、そのさらに奥を見ると、

本当は他の場所へいきたいのに、
自己嫌悪の場所から離れる“足場”が見つからない

という状態になっています。

「守っている」わけでもなく、
「落ち着いている」わけでもない。

ただそこに“留めつけられてしまっている”。
このどうにもならない感じが、自己嫌悪の正体に近いものです。

■ なぜ「自己嫌悪の場所」から動けなくなるのか

自己嫌悪は、表面では「反省している」ように見えます。
しかし実際の心の動きは、反省ではなく固定に近い形です。

人は本来、反省のあとには

気づく → 考える → 次の行動へ

という流れがつながります。
けれど自己嫌悪が強いと、この流れが途中で切れます。

起きているのは

気づく
→ すぐに “自分そのもの” への攻撃
→ そこで止まる

という回路です。

この「人格レベルへの落下」が早すぎるせいで、
“行動まで降ろす前に” 苦しみでいっぱいになってしまうのです。


■ 自己嫌悪の正体は「出口」ではなく“滞留地点”

ここがとても誤解されやすいところです。

自己嫌悪は
「ここで止まっている」とも違うし
「自分を守っている」わけでもない。

実態に近いのは、

そこに足を取られて、前にも後ろにも行けず
ずっと“そこだけが現実”になってしまう

という状態です。

だから本人の中では、

ただ
そこから動けない。


■ 「意図」ではなく「巻き込まれ」

自己嫌悪は、考えて選んでやっているものではありません。
気づくと始まっていて、止める前に心の方がそちらへ持っていかれる。
これは「操作」でも「癖」でもなく、巻き込まれに近い感覚です。

・何か出来事がある
 ↓
・一瞬で「責めるモード」に切り替わる
 ↓
・気がつけばその渦の中にいる

このスピード感は「選択」ではなく “反応” です。

「もうやめたい」と思っても、
“その前に心が先に動いてしまう”。

これが「巻き込まれる」という状態です。


■ だから「励まし」も「前向きも」届かない

周囲からすると

自分を責め続ければしんどいだけなのに
どうしてそこで止まってしまうのか?

と見えます。

しかし当人側では、

他の場所にどう移ればいいかすら分からない
(だから結果的に自己嫌悪しか“扱える手段”がない)

このズレが起きているために
励ましも、慰めも、肯定も届きません。

■ 自己嫌悪から抜けられない理由は「出口がない」のではなく“出口が見えない”

自己嫌悪の渦中にいるとき、人は

「どうすれば止められるのか」
すら考えられません。

なぜなら、本人にとっては

からです。

多くの人が誤解しているのは
「自己嫌悪を続ける=選んでいる」
という見方です。

実際には

選んでいるのではなく“そこしか通路がない”状態です。


■ では、どうすれば外に出られるのか

ここで初めて「認知行動療法」が意味を持ちます。

CBTは自己嫌悪を無理にやめさせるものではありません。
まず行うのは

自己嫌悪しか選択肢がなかった状態に
「別の扱い方」という道をもう1本並べる

という作業です。

つまり
自己嫌悪を減らす介入ではなく、
“別の足場を用意する”介入です。


■ どんな足場か?

難しくありません。
最初に扱うのは「誤りの修正」ではなく

何が起きたか
(※人格ではなく出来事として)

ここです。

たとえば

❌ 「やっぱり自分は駄目」
ではなく
⭕ 「今日は言葉を選ぶのが難しかった」

このレベルに戻すことで、

自己“否定”ではなく
自己“観察”のほうに一瞬だけ視点を動かす

これが 足場の第一歩 になります。


■ 足場ができて、初めて“次の一歩”が考えられる

多くの人が誤解しがちなのは、

反省 → 改善
ではなく

自己嫌悪(人格否定) → そこで滞留

だから、外へ出るには

出来事への切り戻し
→ 「じゃあ次は少しこうしてみてもいいかもしれない」

という順番が必要になります。

ここでようやく、「行動」が自己嫌悪の代わりの“つなぎ止め”になる。

このとき初めて
「罰」としての自己嫌悪の役割が
「次の選び直し」という方向に引き継がれていきます。

■ 自己嫌悪は「戦う相手」ではなく、“役割を降ろす対象”

ここまで見ると分かる通り、
自己嫌悪は「やめれば楽になるもの」ではありません。

なぜなら

自己嫌悪 = 苦しみ
ではなく
自己嫌悪 = 苦しみの“置き場”

だからです。

置き場がそこにしかなかった。
それしか扱い方がなかった。
だから続いただけ。

CBTの考え方は

❌ 自己嫌悪を消す
ではなく
✅ 苦しみの“置き場を移す”

という方向です。


■ 認知行動療法で最初にやること

自己嫌悪が強いとき、
頭の中には「どう思われたか」「失敗したかどうか」だけが残りやすくなります。

認知行動療法で最初に行うのは、
そこからいきなり変えようとするのではなく、

その場で自分に何が起きていたのかを思い出すこと

です。

むずかしいことではなく、

・誰が何を話していたか
・自分はどんなふうに関わっていたか
・どこから苦しさが強くなったのか

この3つを整理して今後の対処法を考えていきます。


■ カウンセリングの中で最初に一緒にやること

自己嫌悪が強い人は、出来事のあとにすぐ「自分の評価」に飛びます。
そこでカウンセリングではまず、この“飛ぶ前の部分”を一緒に丁寧にたどり直します。

進め方は次のような形です。

ここまでを“整理する”のではなく、
**対話の中で一緒に「拾い上げていく」**形です。


■ なぜこういう進め方なのか

自己嫌悪で苦しくなる時、「できなかった」の一点しか残らず、
“途中までできていたこと”が頭から抜け落ちてしまうからです。

カウンセリングでは、

「どこで止まってしまったのか」
→ つまり“限界地点”を一緒に見つける

ここを扱います。

「うまくできなかった」の奥には

という途中までの行動が必ず存在します。

誰もそこを見ようとしていないだけです。


■ そこが見つかると、初めて「次の一歩」が現実的になる

ここでやっとカウンセリングの特徴が出ます。

一般的なアドバイス:
「次はもっと話してみよう」

CBTでの実際:
「どこまでできていたか」→「その先に“半歩”」

つまり

今できているところから、あと半歩だけ

を一緒に考えます。


■ Q&A

Q1.「自己嫌悪をやめたら甘くなるのでは?」
→ 多くの方が最初にそこを怖がります。
しかしCBTでは“自己嫌悪の代わりになる足場”を先に用意するため、
甘やかしではなく「扱いの再設計」です。

Q2.「過去を全部話さないと変わらないのでは?」
→ すべて話す必要はありません。
出来事を素材として扱う段階で十分進みます。
必要なときだけ触れれば良く、掘り返すことはしません。

Q3.「うまく説明できないままでも相談していい?」
→ 大丈夫です。
説明することより、“いまどこに留められているのか” を一緒に確かめていきます。


■ まとめ

自己嫌悪は、弱さでも甘えでもなく
「そこしか場所がなかった」結果として続いています。

だからこそ
敵にして戦う必要もありません。

やめるのではなく、
別の置き場をつくること

それが、認知行動療法が扱う自己嫌悪の改善です。


■ 静岡・浜松で自己嫌悪への認知行動療法カウンセリングをご希望の方へ

当センター静岡浜松店では、
「自己嫌悪が止められない」「頭の中で自分を責め続けてしまう」
というご相談を少なくない数お受けしています。
浜松店は完全予約制のプライベート空間で、
対面・オンラインのどちらにも対応しています。

【所在地】
〒430-0944 静岡県浜松市中央区田町231番地8 プレイスワン田町301号室
(遠州鉄道 遠州病院駅 徒歩3分)

【営業時間】
10:00〜20:00(完全予約制)

【WEB】
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