2024年11月30日
- 認知行動療法
嘔吐恐怖を改善するためのカウンセリング(認知行動療法)

こんにちは。認知行動療法カウンセリングセンター静岡浜松店のスタッフです。本日は、「嘔吐恐怖(エメトフォビア)」について詳しくお話しします。日常生活で嘔吐への恐怖に悩まされている方や、これを克服したいと考えている方に向けて、原因や改善方法をご紹介します。
嘔吐恐怖とは?
嘔吐恐怖(エメトフォビア)とは、嘔吐に対して過剰な恐怖や不安を感じる状態のことを指します。この恐怖は、自分が嘔吐することだけでなく、他人の嘔吐やその可能性のある状況に対しても感じられます。嘔吐恐怖は日常生活にさまざまな影響を及ぼし、活動範囲を制限することがあります。
嘔吐恐怖の主な特徴
- 回避行動
恐怖を避けるために、特定の場所や状況を避ける行動をとることがよくあります。- 外食や飲み会を避ける
- 公共交通機関の利用を控える
- 人混みを避ける
- 食事内容に過剰に気を使う
- 過剰な衛生管理
嘔吐のリスクを避けようとするあまり、必要以上に手洗いや消毒を行ったり、食事前の衛生管理に神経質になる場合があります。 - 不安やストレスの増加
こうした回避行動や強迫的な行動は一時的に安心感をもたらしますが、長期的には不安を強め、ストレスを増加させることがあります。
嘔吐恐怖の症状
嘔吐恐怖を抱える方は、嘔吐に関連するリスクがある状況に直面した際、さまざまな身体的・心理的な反応を示します。
身体的な症状
- 吐き気や胃の不快感
- 心拍数の増加や動悸
- 発汗や震え
- 過呼吸や息苦しさ
- 腹痛や体の緊張
心理的な症状
- 強い恐怖感や不安感
- パニック発作
- 他人の嘔吐に関する場面を想像するだけでの嫌悪感
- 過剰な回避行動や不安の高まり
これらの症状が繰り返されることで、仕事や家庭生活、社会活動への影響が出ることがあり、孤独感や絶望感を深める場合もあります。
嘔吐恐怖の原因
嘔吐恐怖の原因は一つではなく、さまざまな要因が関係していると考えられています。以下のような背景が恐怖の形成に関与することが多いです。
過去の体験
- 幼少期や以前の経験で、嘔吐に関連する強い恐怖を感じた記憶が原因となることがあります。
- 自分が激しい嘔吐を経験した、または他人が嘔吐している場面に直面して強い嫌悪感を覚えたことが、恐怖の元となることがあります。
制御不能な状況への不安
嘔吐は予測やコントロールが難しいため、その不確実性が恐怖感を増幅させます。自分では制御できない状況を避けたいという心理が、嘔吐恐怖を引き起こす一因となります。
健康不安の影響
健康への強い心配や、体調管理に過剰に意識を向ける傾向がある人は、嘔吐に対する恐怖が助長されることがあります。
嘔吐恐怖に対する認知行動療法のアプローチ
嘔吐恐怖は、適切なアプローチを取ることで改善が期待できます。当センターでは、認知行動療法(CBT)を活用したカウンセリングを通じて、嘔吐恐怖に悩む方をサポートしています。
1. 恐怖の状況に慣れていく方法
嘔吐に関する恐怖を少しずつ克服していくために、無理のない範囲で恐怖を感じる状況に慣れる練習を行います。
たとえば、以下のような段階的なアプローチを取り入れます。
- 嘔吐に関連する言葉を聞いたり読む
- 自分の体調の変化に気づいても、冷静でいられる練習をする
- 嘔吐の可能性がある場所や状況を少しずつ経験する
この過程では、恐怖を感じる状況を強制せず、本人がリラックスできる範囲で進めていきます。
2. リラクゼーション技法の活用
不安や緊張を感じたときに心身をリラックスさせる方法を学ぶことは、嘔吐恐怖の改善に非常に有効です。
- 深呼吸法
ゆっくりと息を吸って吐くことで、心拍数を落ち着かせ、不安感を和らげます。 - 筋弛緩法
筋肉の緊張を意識的に解きほぐすことで、体のリラックスを促し、恐怖を感じる状況に対して冷静に対処できるようにします。
3. 恐怖に対する考え方を見直す
嘔吐に対する誤解や否定的な思考を修正し、より現実的で前向きな考え方を身につけます。
- 「吐いたら恥ずかしい」「迷惑をかける」といった考えに対して、「誰でも体調を崩すことはある」といった現実的な見方を取り入れる練習をします。
最後に
認知行動療法カウンセリングセンター静岡浜松店では、嘔吐恐怖にお悩みの方が安心して相談できる環境を整えています。
嘔吐恐怖は適切なアプローチを取ることで改善が可能です。嘔吐恐怖でお悩みの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
認知行動療法カウンセリングセンター静岡浜松店
https://hamamatsu.cbt-mental.co.jp/
——代表プロフィール——
岡村優希
株式会社CBTメンタルサポート 代表取締役
認知行動療法カウンセリングセンター代表
公認心理師、臨床心理士、認定行動療法士
個人事業主として私設カウンセリングルームの運営を経て、株式会社CBTメンタルサポートを創業し、メンタルヘルス支援者向けのサービス事業を展開している。主宰しているオンラインコミュニティ『認知行動療法の学校』の会員数は約400名。
さらに、カウンセリングルームを全国に5店舗運営しており、全国展開を目指している。
◆執筆書籍
「臨床心理学 〈123(第21巻第3号)〉 問いからはじまる面接構造論 「枠」と「設定」へのまなざし」金剛出版
「遠隔心理支援スキルガイド」 誠信書房
◆テレビ出演
読売テレビ「かんさい情報ネットten.」2024年7月4日
「あなたの味方!お役に立ちます」のコーナーに高所恐怖克服のための専門家として出演
◆雑誌掲載
「からだにいいこと」 2022年12月号、2023年2月号
◆近年の講演実績
2024年2月21日
広島大学医学部にて「セルフケアに役立つ認知行動療法入門」についての講師
2023年2月9日
NTT PARAVITA株式会社にて「認知行動療法」をテーマとした社内研修の講師
2022年7月6日
筑波大学医学医療系精神医学の勉強会で「パニック症の認知行動療法」についての講師
その他、学会発表多数
