2024年11月17日
- 認知行動療法
不安症へのカウンセリング(認知行動療法)
こんにちは、認知行動療法カウンセリングセンター静岡浜松店の岡村です。当センターでは不安に悩む方への専門的なカウンセリングを提供しています。現代は、さまざまな社会的プレッシャーや生活環境の変化により、不安を抱える方が増えている時代です。不安を感じることは誰にでもありますが、それが長期間にわたり、生活に支障をきたすようであれば「不安症」の可能性も考えられます。不安症の特徴や症状について理解を深め、適切な対処方法を知ることで、日常生活の質を向上させることができます。
不安症とは?
不安症とは、長期的かつ過剰な不安や心配を伴う状態を指します。一般的な「不安」とは異なり、脅威の対象が特定できない漠然とした不安が続き、それが生活の質に悪影響を及ぼす場合に「不安症」と診断されることがあります。多くの方は日常的に何かしらの不安を感じて生活していますが、不安が心配ごとに留まらず、日々の活動にまで影響を与えるような場合には専門的な支援が必要です。
不安の役割と不安症の境界
不安は、一見するとネガティブに感じることが多い感情ですが、実は私たちの生活を守るために必要な感情でもあります。不安は危険を察知し、回避行動を取るように働きかける警戒心でもあります。例えば、夜道を一人で歩く時に不安を感じるのは、リスクを避けようとする自然な反応です。また、健康管理や人間関係の維持にも不安が役立ちます。不安により健康意識が高まり、定期的な健康診断や適切な食生活を保つ動機づけになることもあります。
しかし、不安が過度で持続的に続く場合は、「不安症」という状態に発展している可能性があります。不安症は一時的な不安とは異なり、特定の状況でのみならず、日常のさまざまな面で過剰な心配や恐怖を感じ続ける疾患です。こうした不安が身体症状にも影響を及ぼし、集中力の低下や心身の疲労感を引き起こすことがあります。
不安症の特徴的な症状
不安症の主な症状は、以下の通りです。
- 持続的な不安感:不安症の中心的な症状であり、理由もないのに不安や心配が続くことがあります。特に理由がなくても不安を感じ、些細な出来事にも過度に反応しやすいのが特徴です。これにより、集中力が低下し、日常生活に影響が及ぶことがあります。
- 身体的な症状:不安症は心の問題であると同時に、身体的な症状としても現れることがあります。主な症状には動悸、息切れ、発汗、筋肉の緊張、手足の震え、胃の不調などが含まれます。これらは心配する必要のない場面でも発生し、さらに不安を増幅させる要因になることもあります。
- 回避行動:不安症の方は、不安を引き起こす状況を避けようとする傾向が強くなります。このような回避行動は、社会生活や仕事、人間関係に悪影響を与える可能性があります。例えば、人前で話すことが不安なために、重要な会議を避けたり、対人関係を控えるようになることがあります。
- パニック発作:不安症の中には、突然の激しい不安や恐怖に襲われる「パニック発作」を経験する人もいます。パニック発作は突如として起こり、胸の痛み、窒息感、めまい、死への恐怖などの激しい身体反応が現れます。
不安症の種類
不安症には複数のタイプがあり、それぞれ異なる特徴を持っています。
全般性不安障害(GAD)
全般性不安障害は、特定の状況や出来事に限らず、広範な面で過剰な不安や心配を抱く状態です。健康、仕事、家族、経済状況などについて過度に心配し続けることが特徴です。
パニック障害
パニック障害は、予期せぬパニック発作が繰り返し起こる疾患です。発作は数分以内にピークに達し、激しい身体症状や「死んでしまうかもしれない」という強い恐怖が伴います。この発作が再発するのではないかという不安から、外出や特定の状況を避ける行動が見られることがあります。
広場恐怖症
広場恐怖症は、逃げ出せない場所や状況を恐れ、避けようとする状態です。具体的には美容室や映画館、混雑した場所や公共交通機関など、逃げ出しにくい場所に対する不安や回避行動が見られます。
社交不安障害
社交不安障害は、人前で話す場面や食事の際に過度に不安や緊張が高まる障害です。他者の視線が気になりやすく、恥をかくことへの恐れから回避行動を取ることもあります。
限局性恐怖症
特定の対象や状況に対する強い恐怖を感じる状態です。例えば、高所や飛行機、動物、注射など、特定の物や場所に対して過剰に恐れを感じ、それに近づかないように努めます。
不安症とうつ病の違い
不安症とうつ病は、どちらもメンタルヘルスに関わる疾患ですが、症状や日常生活への影響が異なります。
- 不安症の症状:持続的な不安や恐怖、過剰な心配、そして身体的な症状が主な特徴です。日常の些細な事柄に対しても不安を感じ、動悸や息切れ、発汗といった身体症状が伴うことが多いです。
- うつ病の症状:うつ病の主な症状は、持続的な悲しみや興味・喜びの喪失です。人や物事への関心が薄れ、何をしても楽しいと感じられなくなります。自責感が強まり、重症の場合には自殺念慮が生じることもあります。
- 日常生活への影響:不安症は特定の行動や状況を避けることで、社会生活に悪影響を与える場合が多いです。一方、うつ病は自己評価の低下や無気力感によって、日常生活全般にわたり活動意欲が減退します。
不安症の改善と認知行動療法
浜松の認知行動療法カウンセリングセンターでは、不安症への対応として認知行動療法(CBT)を専門に行っています。CBTは、不安を引き起こす考え方や行動のパターンを見直し、より適切な思考や行動に変えていくアプローチです。具体的には、不安を感じた場面での思考パターンや行動を分析し、その中で認知の歪みを発見して修正を行います。
不安症に対するCBTの一環として、「段階的曝露法」や「リラクゼーション技法」などの方法も取り入れています。段階的曝露法では、不安を感じる状況に少しずつ慣れていくことで、恐怖や不安を軽減させていきます。また、リラクゼーション技法によって、体と心をリラックスさせるスキルを身につけ、不安を感じた際に落ち着くことができるように支援します。
早期の相談が重要
不安症は、日常生活に大きな影響を与えるため、早期に適切なアプローチを受けることが大切です。認知行動療法カウンセリングセンター静岡浜松店では、不安症についての事前無料相談も行っています。不安症でお悩みの方は是非ご相談ください。
認知行動療法カウンセリングセンター静岡浜松店
https://hamamatsu.cbt-mental.co.jp/
——筆者情報——
岡村優希
株式会社CBTメンタルサポート 代表取締役
認知行動療法カウンセリングセンター代表
公認心理師、臨床心理士、認定行動療法士
個人事業主として私設カウンセリングルームの運営を経て、株式会社CBTメンタルサポートを創業し、メンタルヘルス支援者向けのサービス事業を展開している。主宰しているオンラインコミュニティ『認知行動療法の学校』の会員数は約400名。
さらに、カウンセリングルームを全国に5店舗運営しており、全国展開を目指している。
◆執筆書籍
「臨床心理学 〈123(第21巻第3号)〉 問いからはじまる面接構造論 「枠」と「設定」へのまなざし」金剛出版
「遠隔心理支援スキルガイド」 誠信書房
◆テレビ出演
読売テレビ「かんさい情報ネットten.」2024年7月4日
「あなたの味方!お役に立ちます」のコーナーに高所恐怖克服のための専門家として出演
◆雑誌掲載
「からだにいいこと」 2022年12月号、2023年2月号
◆近年の講演実績
2024年2月21日
広島大学医学部にて「セルフケアに役立つ認知行動療法入門」についての講師
2023年2月9日
NTT PARAVITA株式会社にて「認知行動療法」をテーマとした社内研修の講師
2022年7月6日
筑波大学医学医療系精神医学の勉強会で「パニック症の認知行動療法」についての講師
その他、学会発表多数
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