2024年11月19日
- 認知行動療法
不登校へのカウンセリング(認知行動療法)
こんにちは、認知行動療法カウンセリングセンター静岡浜松店です。本日は当センターで行っている小中学生の不登校支援についてお話ししたいと思います。近年、学校に通えない子どもたちが増加しており、最新のデータによると、小中学生の不登校者数は過去最多の約34万人に上り、10年連続で増え続けています。不登校はもはや珍しいことではなく、社会全体でサポートが必要な重要な課題です。
当センターでは、不登校の背景にあるさまざまな要因を理解し、カウンセリングを通して支援を行っています。特に認知行動療法(CBT)を活用して、子どもやその家族が自分たちの抱える課題と向き合い、日々を少しでも前向きに歩めるようサポートしています。以下では、不登校支援に対する当センターの考え方とカウンセリングの流れについて、詳しくご紹介いたします。
不登校支援に対する当センターの考え方
まず、不登校という状況を「正解」か「不正解」で判断するのは適切ではないと考えています。不登校の背景にはさまざまな理由があり、学校に通うことが必ずしも最善の解決策でないこともあります。中には、無理をして登校し続けることで心身のバランスを崩してしまう子もいれば、学校に行きたい気持ちはあるものの、環境や人間関係に悩み、通うことが難しくなっている子もいます。
このように、不登校には個別の背景や経緯があるため、「学校に戻ること」をゴールとするだけではなく、子ども自身の現状を尊重しながら最善の選択を見つけることが重要です。また、子どもだけでなく、その家族や学校関係者の意見も大切にし、協力体制を整えながら支援を進めていきます。当センターでは、学校に戻ることだけを目指すのではなく、子どもたちが安心して生活できる環境をつくることを目標に、サポートを行っています。
不登校へのカウンセリング
当センターでは、不登校相談を通じて以下の3つの主な役割を果たしています。
1. 状況の把握と関係者の思いの整理
まず、子ども本人や家族、学校関係者など、関係者の状況や思いを理解し、整理することから始めます。不登校は単に「学校に行かない」という状態だけではなく、心の負担や悩みが関係していることが多いため、背景にある感情や不安、家族や学校との関係を丁寧に伺いながらアセスメント(評価)を行います。
また、必要に応じて医療機関や福祉機関との連携も行い、支援の幅を広げるようにしています。たとえば、不登校の原因が心理的な要因だけでなく、発達上の特徴や心身の健康状態に関連している場合、専門機関と協力しながら包括的な支援を提供することもあります。
2. 方向性の決定
次に、現実的な短期的目標と、目指すべき長期的な目標を一緒に設定していきます。この目標設定は柔軟に行い、進行に応じて見直しや修正も行います。目標の内容は個々によって異なり、たとえば「学校復帰」を目指すケースもあれば、「別の学びの場で過ごすこと」や「家庭内で安心して過ごせるようになること」を目指すケースもあります。家庭内での関係性の改善が先決である場合もありますし、場合によっては外部機関での支援を利用するケースもあります。
3. 具体的なサポート内容の確認と障壁の明確化
目標が定まったら、その達成に向けて具体的なサポート内容を計画します。たとえば、学校復帰を目指す場合には、まず外出の習慣をつけるところから始めるなど、段階的な支援を提案します。目標に向けて進む過程で立ちはだかる「障壁」についても検討し、可能な限り対策を立てます。
一例として、玄関を出ようとすると「お腹が痛い」「行きたくない」という身体的・心理的な反応が現れることがよくあります。こうした症状は、決して本人が弱いわけではなく、心と体がストレスを受けた結果現れる反応です。これに対し、認知行動療法を通じて対処法を考え、少しずつ自分にできることを増やしていく支援を行います。重要なのは、「壁」を乗り越えることが目的ではなく、時にはその壁を迂回することも良い選択肢であることを共有し、無理なく進んでいけるようサポートします。
認知行動療法による具体的なアプローチ
当センターでは、認知行動療法(CBT)を用いた支援を行っています。CBTでは、困難な状況に対してどのように認知し、どう反応するかを整理し、新たな考え方や行動を身につけていきます。たとえば、「学校に行くのが怖い」という気持ちがある場合、それがどのような思考パターンから生じているのかを一緒に探り、少しずつ現実的な捉え方を身につける訓練を行います。
CBTでは、学校への段階的な再適応を試みる際に、本人の不安や恐怖感を少しずつ減らすための「エクスポージャー(段階的曝露法)」を取り入れることもあります。この手法は、本人が感じる不安に対して少しずつ向き合いながら、学校や外出といった「課題」に取り組むことで自信をつけ、適応力を育てていく効果が期待されます。
最後に
認知行動療法カウンセリングセンター静岡浜松店では、経験豊富なカウンセラーが、子どもやその家族の立場に寄り添い、一人ひとりの状況に応じた支援を行います。相談内容は、不登校の他にも、日常生活での心配事や不安感、対人関係の悩みなど、幅広く対応しています。
カウンセリングを通して少しずつ日常生活のリズムを取り戻し、未来への希望を見出していくお手伝いができればと考えています。不登校の解決を急ぐのではなく、子どもが自分自身のペースで安心して過ごせるようサポートを行いますので、まずはお気軽にご相談ください。
認知行動療法カウンセリングセンター静岡浜松店
https://hamamatsu.cbt-mental.co.jp/
——筆者情報——
岡村優希
株式会社CBTメンタルサポート 代表取締役
認知行動療法カウンセリングセンター代表
公認心理師、臨床心理士、認定行動療法士
個人事業主として私設カウンセリングルームの運営を経て、株式会社CBTメンタルサポートを創業し、メンタルヘルス支援者向けのサービス事業を展開している。主宰しているオンラインコミュニティ『認知行動療法の学校』の会員数は約400名。
さらに、カウンセリングルームを全国に5店舗運営しており、全国展開を目指している。
◆執筆書籍
「臨床心理学 〈123(第21巻第3号)〉 問いからはじまる面接構造論 「枠」と「設定」へのまなざし」金剛出版
「遠隔心理支援スキルガイド」 誠信書房
◆テレビ出演
読売テレビ「かんさい情報ネットten.」2024年7月4日
「あなたの味方!お役に立ちます」のコーナーに高所恐怖克服のための専門家として出演
◆雑誌掲載
「からだにいいこと」 2022年12月号、2023年2月号
◆近年の講演実績
2024年2月21日
広島大学医学部にて「セルフケアに役立つ認知行動療法入門」についての講師
2023年2月9日
NTT PARAVITA株式会社にて「認知行動療法」をテーマとした社内研修の講師
2022年7月6日
筑波大学医学医療系精神医学の勉強会で「パニック症の認知行動療法」についての講師
その他、学会発表多数
一覧に戻る