2024年11月20日
- 認知行動療法
自己臭恐怖へのカウンセリング(認知行動療法)
こんにちは。認知行動療法カウンセリングセンター静岡浜松店の岡村です。今回は、当センターでサポートしている「自己臭恐怖」について、認知行動療法(CBT)を用いたアプローチをご紹介します。
自己臭恐怖は、生活の質や対人関係に大きな影響を及ぼすことがあり、一人で悩みを抱えてしまう方も少なくありません。当センターでは、丁寧なカウンセリングを通じて、自己臭恐怖に苦しむ方が安心して過ごせる日々を取り戻すお手伝いをしています。
自己臭恐怖とは?
自己臭恐怖とは、「自分の体から悪臭が出ているのではないか」という強い不安や恐怖にとらわれる状態です。この恐怖は必ずしも実際の臭いに基づくものではなく、多くの場合は「自分が周囲に迷惑をかけているのではないか」という思い込みや過剰な自己意識から発生します。
主な特徴
自己臭恐怖には、以下のような特徴的な行動や心理状態が見られます:
- 過剰な清潔習慣
臭いを気にするあまり、1日に何度も歯磨きや入浴を繰り返す。 - 他人の反応への過敏さ
他人が鼻をすする、顔をしかめるなどの仕草を「自分の臭いが原因だ」と思い込み、不安が増幅。 - 社会的回避行動
対人関係を避けたり、外出を控えることで孤立を深める。
発症の背景
自己臭恐怖の原因は一様ではなく、以下のような要因が影響すると考えられています:
- 過去の経験:誰かに「臭い」と言われた経験がきっかけとなる場合があります。
- 性格傾向:過敏で自己評価が低い人は、自己臭恐怖に陥りやすいと言われています。
- ストレス:仕事や家庭環境などの心理的ストレスが引き金になることも。
認知行動療法(CBT)とは
認知行動療法(CBT)は、物事の「考え方」や「行動の癖」を見直し、日常生活で抱える不安や困難を改善していく心理療法です。自己臭恐怖においては、「自分の臭いが周囲に悪影響を与えている」という考え方を新しい視点から捉え直すことを目指します。
CBTの基本的なステップ
1. 現状把握
まず、クライエントが自己臭恐怖によってどのような影響を受けているかを整理します。
- 「どんな状況で臭いを感じるのか?」
- 「その結果、どのような行動や感情が引き起こされるのか?」
といった具体的な情報を共有します。
この段階では、臭いの有無を検証するのではなく、「思い込みが生活に与える影響」を理解することに重点を置きます。
2. 認知の再構成
次に、「本当に自分が悪臭を放っているのか?」という思考パターンを一緒に見直します。
自己臭恐怖を抱える人は、他人の些細な仕草を自分に結び付ける認知の癖を持っていることが多いです。このような思考を、「他人の反応は必ずしも自分に向けられているわけではない」という新しい視点に変えるお手伝いをします。
3. 曝露療法(エクスポージャー)
曝露療法では、不安や恐怖を感じる状況に段階的に慣れていくトレーニングを行います。
例えば、短時間の外出や人混みへの参加など、少しずつ行動範囲を広げることで、不安を和らげていきます。
4. 対処行動の抑制
頻繁な歯磨きや入浴といった「安心を得るための行動」を少しずつ減らし、自然体でいられるようにします。これにより、自己臭に対する囚われから解放されることを目指します。
自己臭恐怖に対する認知行動療法の効果
CBTは、自己臭恐怖を抱える方が不安を軽減し、日常生活に自信を持てるようになるための効果的な方法です。以下のような効果が期待されます:
- 他人の反応を過剰に気にしなくなる
- 自然体でのコミュニケーションが可能になる
- 社会的な孤立から脱し、自信を回復できる
ただし、改善には個人差があり、数回のセッションで劇的な変化を求めるのではなく、長期的な取り組みが必要です。当センターでは、クライエントのペースを尊重しながらサポートを行っています。
最後に
自己臭恐怖は、一人で抱え込むことで症状が悪化することがあります。適切なサポートを受けることで、不安が和らぎ、安心して過ごせる日々を取り戻すことが可能です。
もし自己臭恐怖に悩んでいる方がいれば、どうぞお気軽に認知行動療法カウンセリングセンター静岡浜松店にご相談ください。
認知行動療法カウンセリングセンター静岡浜松店
https://hamamatsu.cbt-mental.co.jp/
——筆者情報——
岡村優希
株式会社CBTメンタルサポート 代表取締役
認知行動療法カウンセリングセンター代表
公認心理師、臨床心理士、認定行動療法士
個人事業主として私設カウンセリングルームの運営を経て、株式会社CBTメンタルサポートを創業し、メンタルヘルス支援者向けのサービス事業を展開している。主宰しているオンラインコミュニティ『認知行動療法の学校』の会員数は約400名。
さらに、カウンセリングルームを全国に5店舗運営しており、全国展開を目指している。
◆執筆書籍
「臨床心理学 〈123(第21巻第3号)〉 問いからはじまる面接構造論 「枠」と「設定」へのまなざし」金剛出版
「遠隔心理支援スキルガイド」 誠信書房
◆テレビ出演
読売テレビ「かんさい情報ネットten.」2024年7月4日
「あなたの味方!お役に立ちます」のコーナーに高所恐怖克服のための専門家として出演
◆雑誌掲載
「からだにいいこと」 2022年12月号、2023年2月号
◆近年の講演実績
2024年2月21日
広島大学医学部にて「セルフケアに役立つ認知行動療法入門」についての講師
2023年2月9日
NTT PARAVITA株式会社にて「認知行動療法」をテーマとした社内研修の講師
2022年7月6日
筑波大学医学医療系精神医学の勉強会で「パニック症の認知行動療法」についての講師
その他、学会発表多数
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